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【第18号】ゆるやかなネットワークと越境する対話:遊び、学び、創造(香川秀太・青山征彦 責任編集)

締切:2017年10月末日

特集主旨:昨今,特定の組織内での活動や,トップダウン型の意思決定,あるいは,中央集権型の社会形態に代わる新しい実践が拡大している。それは,多様な人々が自律的に動きながら流動的,分散的につながり,各々の異質性・多様性を生かして様々な物事を創造する活動である。言い換えれば,既存の分野や集団の枠を越えた越境活動,もしくは,集団の境界それ自体が曖昧となり消失さえするネットワーク型活動の活発化である。様々な領域で,この種の活動形態に依拠した実践,もしくは,影響を受けた新しい取り組みが野火的に拡がっている。

例えば,企業や医療業界では,既存の部署や専門分野の枠を越えて協働する対話型セッションが,あるいは,職場外でも,自分が属する組織を越えて社会活動に参加したり,新たな学びの場やコミュニケーションの場の構築を試みるセカンドキャリアやワークショップ型の実践が広がった。教育業界でも,外部と連携する出前授業やプロジェクト学習,創造的学習が急速に普及・一般化した。また,SNS等のソーシャルメディアの発展と連動しつつ,反原発デモに代表される社会運動やフラッシュモブ等の祝祭的活動も各地で拡がった。その他の領域でも,市民参加型の行政,フューチャーセッション,ハッカソン等,従来の生活圏やジャンルや集団を越えて異質な人々がゆるやかに,流動的につながっていく活動が波及している。

これらに対しては,例えば,創造,異質・多様,対話,学習,情動,知識,プレイ(遊び演じる遊(ゆう)演(えん))といった概念が研究上のキーワードとしてあげられるだろう。普段の生活圏を越えて新たな知識やスキルや情報,あるいは異質な文化に触れること,多様性を生かしてそれらを創造すること,普段とは違う自分や新しい自分を演じること,既存の枠組みを崩していくこと,異質さへの驚きや葛藤,創造の喜びという情動を経験すること,新しいコミュニケーション方法,場,コミュニティ,ネットワークを生み出していくこと。これらは総じて,自らも変わりつつ社会や環境や道具を(つまり関係性を)創り変えていく新たな学習活動といえそうである。むろん,活動ごとに特徴は様々で一括できない側面があり,それゆえ,質的研究の強みを生かし,各々の具体的な様相を検討していく必要がある。

ゆるやかな越境的ネットワークは,これからますます力をつけていくであろう社会形態と予想される。情報技術の発展と普及のみならず,経済成長神話の崩壊,原発事故,大規模震災,深刻な環境汚染,マスメディアの衰退,強いリーダー神話の弱体化等々,様々な事柄が背景にあって拡大が進んでいると考えられる。一部ではこうしたネットワーク型の活動が,制度疲労も指摘される資本主義や経済中心社会の限界を補ったり,乗り越えたりする大きな可能性を持つものとさえ論じられてきてもいる。

本特集号では,こうした現象に着目した質的研究を募集したい。個別の現象に着目し分析した調査研究はもちろんのこと,自ら実践者として関わるアクションリサーチや実践研究,そして,方法論的,理論的研究も歓迎したい。

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